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平成23年 学生リポーターが企業を訪問

当事業は終了しました

学生による“奈良県企業”訪問記(訪問日順)
奈良県および近隣の学生が企業を訪問しインタビュー。職場の雰囲気やお仕事のやりがいについてお伺いしました。

「仕事のやりがいは、自分で見つけるもの」 (株)徳田銘木
天理大学 国際文化学部ヨーロッパ・アメリカ学科 尾崎 ひろ
  後藤 善正
 私たちは、吉野杉など自然木を扱っておられる徳田銘木様に企業リポートにお伺いしました。お忙しい中、徳田社長様から直々にお話を聞かせていただきました。

 徳田銘木様は、日本の林業の発祥地とも言われる奈良県吉野の山中、黒滝村にある会社で、森林育成から製造・販売まで、吉野杉をはじめとする多彩な自然木・天然木を取り扱っておられました。私たちは訪問させていただくことで、林業だけでなくこれまでの中小企業へのイメージが随分と変わりました。訪問する前は、林業とは一体どういうことをされているのかあまり知らず、また慣れない訪問でとても緊張しました。しかし実際訪れてみると木を造林・育木し・販売するだけでなく、古い考え方なら使えなかった木材を新しいアイデアやノウハウで事業展開をしておられました。それらの商品のなかにはデザイン性に富んだ商品も数多くあり、工場内を見学させていただいているうちに木の魅力に引き込まれてしまいました。 「仕事のやりがいは、自分で見つけるもの」 (株)徳田銘木

「仕事のやりがいは、自分で見つけるもの」 (株)徳田銘木  銘木は従来、床の間の柱や大黒柱・飾り柱として伝統的な和風建築・茶屋室・数奇屋建築・社寺仏閣などの用材として数多く使用されてきました。しかし近年に入り、住宅や商業施設の建築様式の変化に伴い、需要が激減しました。こうした厳しい状況下のなか、徳田銘木様では従来の伝統的な使用法に加えて、和風モダンを演出するマテリアルとして、自然木の高付加価値化による商品化を図ることで、新たに販路拡大や材木業者との原材料供給のネットワークづくりを進められました。「時代が変われば自分も変わらなければいけない」と話される姿に、社員を引っ張っていかれる決断力や器の大きさ、パワーを感じました。

 また私たちはこのインタビューで、会社を動かしていく姿勢だけでなく、人間的な部分まで勉強させられることが沢山ありました。その中でも印象に残ったのが「やりがいは見つけるものだ」という言葉です。「就職して世間に出れば、ほとんどの人が想像していたことと違い納得できないことばかりだと感じる。しかし待っていても誰も自分に合った環境を与えてくれる訳ではない。どんなことにでも本気でやることによってやりがいが見つかるものだ」ということです。他にもこれからの自分の意識や行動を見直す貴重なアドバイスもいろいろといただきました。この企業リポートで仕事の厳しさや難しさを知ると同時に、仕事に対する熱い意欲と向上心も持つことができました。 「仕事のやりがいは、自分で見つけるもの」 (株)徳田銘木
 
 最後に今回このような機会を設けてくださった、徳田銘木様、奈良県中小企業支援センター様に深く感謝しております。ありがとうございました。
 
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「人の想いを作る 美味しいコンフィチュール」 堀内農園
奈良佐保短期大学 生活未来科食物栄養コース 露口 聖代
  内田 郁花
 絶景のロケーション、広大な吉野の山で果物栽培・加工に取り組んでおられる堀内農園を訪問し、代表の堀内俊孝様と奥様にお話を伺いました。

生憎の天気でしたが、ブルーベリーなどの果樹園なども見学させていただき、「この土地は果物作りに最適なんだ。和歌山にも負けないくらいの南高梅だって出来る!!」と果物作りへの熱い想いを話して下さいました。堀内農園では、季節により柿、梅、ブルーベリーやカリンなどの果物を生産されています。更に、加工・販売に至るまで自分たちの手で行い、日々、新商品の開発に取り組んでおられます。「人が口にするものだから…、子どもが口にするものだから…」という言葉をモットーに、栽培の時から土や水にこだわった安心安全な果物を生産されています。商品も無添加を追求され、コンフィチュールの開発時には大変なご苦労があったそうです。

 近年の「食」は、加工食品を筆頭に何をとっても添加物に溢れています。添加物の味に慣れてしまっている子どもたちも少なくありません。取材時に、事務所内を2人の女の子がところ狭しと元気に走り回っていました。その子どもたちを見つめながら「やはり子どもたちを見ていると現代の食について考えさせられる」と奥様がおっしゃっていました。近頃の「食」の現状は必ずしも安全とは言い切れなくなってきていると思います。そのために少しでも安心して食べられるものを届けたいと思い、日々、安全で美味しい果物栽培に、健康的な食品加工に取り組んでおられるそうです。 「人の想いを作る 美味しいコンフィチュール」 堀内農園

「人の想いを作る 美味しいコンフィチュール」 堀内農園  堀内農園では、今年から、県内外のマーケットやイベントへの出店にも力を入れておられます。「自分たちで作ったものだから自信を持って直接お客様に勧めたい」と生産者から消費者への「手から手へ」の販売をされています。イベントの様子を伺うと「幅広い世代の人が手にとってくれるが、特に女性のお客様が多い。どの人も食に関心を持っているね。」とおっしゃっていました。生産から加工、販売まで全行程を通して商品に愛着が湧き、自信があるからこそ、それが強みとなり、販売意欲となり、お客様への感謝にも繋がっているそうです。イベントでは利益が上がらない日もあるそうですが、出店することで、お客様の生の意見を聞いたり、他の出店者の方々との情報交換の場として貴重な時間となるそうです。こうして人と繋がる他にもインターネットでの販売にも力を入れ、更に輪を広げていきたいとのことでした。安全でおいしい堀内農園のコンフィチュールや柿チップなどを是非多くの人に食べてもらいたいと思いました。

 そんなイベント出店などには、若いスタッフにも行ってもらうということで、人材育成についてもお話を伺いました。農業人口の減少が進む中、若い力は大きな戦力です。求められる力について伺うと「農業は地道な作業が多いし、自然相手なのでうまくいかないこともある。毎日続けていく根気が必要だ。あとは、お客様に感謝すること。こうして生活していけるのもお客様のおかげだよ。」との答えをいただき、人と人との繋がりがあるからこその農業であり産業であると感じました。

今後は、会社として生計を立てていき、従業員の正規雇用を確立したいとのことですが、農業ビジネスの現状はまだまだ課題が山積みのようです。農業人口の減少もとても深刻ですが、堀内農園のように熱い取組みをされる農家が増えると農業界も盛り上がっていくだろうと思います。

堀内農園の取組みから、ものづくりや人と人との関わりなど、人が人を想い、繋がっていくことの大切さを再確認しました。また人間関係が希薄化している現代だからこそ、特に重要なことだと思いました。今日の学びと想いを今後の「職」生活、そして「食」生活に役立てていきたいと思います。貴重なお時間をありがとうございました。
 
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「子供たちがワクワクする品種づくり」 ナント種苗(株)
大阪経済大学 ビジネス法学科 永井 悠美
  経営学科 吉田 実緒
 私たちは、『すべては、ニッポンの農業のために。すべては、ニッポンの食卓のために』をスローガンに日本の種苗業界を支えておられるナント種苗株式会社様に訪問をさせていただきました。

橿原市にあるナント種苗株式会社様は、全国の種苗店に対して、卸売販売を行われておられます。また、飛鳥育種農場、宇陀育種研究農場において、トマトやメロンなど多種の種子の品種改良、研究を行い、さらに、2011年1月には、スイカの名産地として有名な熊本県に出張所を設置し、産地現場でのスイカの調査研究にも取り組むなど、研究に力を入れておられます。

 今回の訪問では、代表取締役社長の森井哲也様、技術顧問の梶田様、研究開発部の宇野様、萩野様にお話を伺いました。

種苗は、すべての野菜の「種」であり、お客様の信頼感、期待感が非常に重要となります。優れた品種開発に加え、種子の安定供給を以て日本の農業に貢献されています。現在、ナント種苗株式会社様では、多種の種子を生産販売されておられ、優れた商品、また、お客様の「Want」を提供するために、日々、研究開発を繰り返しておられます。一品種の種の開発に、10年もの時間を要するとのことです。例えば、トマトだけでも何種類も研究栽培されており、優れた品種を作るために、あらゆる種類を栽培されていることには、とても驚きました。
「子供たちがワクワクする品種づくり」 ナント種苗(株)

「子供たちがワクワクする品種づくり」 ナント種苗(株)  特に印象に残っているのは、“ピンキー”というミニトマトです。実際に試食させていただきました。 “ピンキー”は、大変薄皮で、口に皮が残らないという特徴があり、食味、食感とも、従来のものとは異なり、果実のような新感覚のミニトマトでした。

このように、研究開発部の皆様は、従来にない、そして、お客様に感動、感激を与える品種改良を日々行われています。そのため、種子を非常に大切にされており、「自分の子どものようだ」とおっしゃっていました。従業員の方お一人おひとりが、“好きだからこそできる”と、自分の仕事に対して誇りを持っておられる姿を拝見し、私たちは強く感銘を受けました。

 最後に、“ピンキー”のようなユニークな商品名に関してもお聞きしたところ、主に商品名は、品種の開発者の方が命名されているとのことです。小玉スイカの商品シリーズで“愛娘”というシリーズがありますが、やはりそのスイカの開発者が名づけられました。それは、本当に自分の娘のように育て作られた開発者の方の思いが込められた品名でした。 「子供たちがワクワクする品種づくり」 ナント種苗(株)

 ナント種苗株式会社様は、これからも生産者の方の生産意欲を掻き立て、そして、お客様の食に対する感動、子どもたちがワクワクする品種を作り、日本の農業に貢献をしたいとおっしゃっていました。
 
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「三事業のもたらす相乗効果」 フルックスグループ(株)三晃
大阪商業大学 経済学部 内部 亮平
  経営学部 豊田 峻輔
 私たちは、奈良県大和郡山市に位置するフルックスグループの株式会社三晃様を訪問し、社長の黒田久一様と人事部の山本禎則課長様からお話を伺いました。

創業当時、青果物の仲卸業、いわゆる内食産業に限定した事業を展開されていましたが、現在では自社で独自に開発した惣菜の販売や宅配弁当、定食屋などの中食・外食産業も手掛けておられます。

 内食だけでなく、中食・外食にも進出された理由は、「食の外部化」です。働く女性や高齢者の増加に伴って、主婦が台所に立つ時間が相対的に減少したため、青果物に占める内食の需要が減少し、中食・外食の需要が増加したためです。

こうした食文化の変化をいち早くキャッチし、内食を手掛ける青果販売事業、中食を手掛ける青果加工事業、そして外食を手掛けるフードサービス事業を関西の物流の要となる大和郡山市に移されました。関西圏で新鮮な食品をいち早く消費者に届けることができるようになったことはもとより、事業間での情報共有がよりスムーズに行われるようになり、また三事業での合同会議が可能なのも、奈良県に全事業を集約した大きなメリットだということです。
「三事業のもたらす相乗効果」 フルックスグループ(株)三晃

「三事業のもたらす相乗効果」 フルックスグループ(株)三晃  また、より良い商品の開発にも余念がありません。同社は奇数月に開催される「惣菜のわかる八百屋塾」を通して、惣菜の研究や事業内容をPRされています。この塾には納入業者から学生まで、さまざまな人が参加され社員と直接、意見交換をされているとのことです。同社の強みは、これらの各事業から集めた情報を消費者やお取引先様へフィードバックして内容をグループで共有し、全体としてより良い商品の開発・提供に結び付けられておられる点にあるようです。

現在、同社が求めている人材について伺ったところ、「失敗を恐れずに何事にもトライできる人、バイタリティーのある人」と話してくださいました。新しい青果・惣菜事業を描き新規事業開拓を目指して取り組むチャレンジ精神豊富な人材を求められています。

 同社は今後、日本全国への市場の拡大を目標とされており、現在は東海地方を中心とした市場への参入に向けて、営業陣が日々奮闘中です。若手社員も営業を積極的に行い、生産者の人たちとうまく共存されており、このような積極的な取り組みが今後日本全国へ拡大していくことになるのだと思います。 「三事業のもたらす相乗効果」 フルックスグループ(株)三晃

 最後に、黒田社長様から会社を経営していく上で、重要なこととは何かについて伺いました。経営者にとって最も大事なことは、「決断すること」と「世の中の動きにどのように対応していくか」であると教えてくださいました。経営者にとって世の中のニーズを敏感に察知し、時には大胆な決断をすることは、一番重要なことだと知りましたが、そこで働く、社員一人ひとりもこのような志を持ち会社の発展に貢献していくことが求められていると痛感しました。
 
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今あるべき会社とは? (有)類農園
近畿大学 農学部 水産学科 渡辺 貴大
  島崎 裕司
 (有)類農園様は、1999年に「類設計室(都市計画・建築設計)」「類塾(進学指導・教育情報)」「類地所(コンサル・不動産仲介)」「類出版(出版・編集)」の事業を展開する類グループの一員として、奈良の地に農業生産法人として設立されました。

農業や農村が持っている「共同体」という特性を生かし、企業のあり方として従業員が主体的に経営に参加するという考えをもって農作物の生産、販売、教育活動、地域や農業振興に日々取り組んでおられます。

 水産学科に所属する我々が類農園様を訪ねたことはいささか風変わりに思われるかもしれませんが、それは全く勘違いであるといえます。どちらも同じ「生産行為」であり、抱える問題もどうしても似てしまう面からです。

農業も漁業も商品に付加価値がつけにくく、例えばこれが化粧品であったなら、大々的な広告を用いてストーリーやコンセプトなどを宣伝し、売り値を大幅に上げることができます。しかし、野菜や魚介類ではこういったことは難しい。
今あるべき会社とは? (有)類農園

今あるべき会社とは? (有)類農園  そこで、類農園様は類グループの1つである『類塾』と共同で月一回の農業体験教室を開いておられます。もちろん、類塾以外からの参加も可能です。これは、類塾の教育理念の1つである「自分の頭で考えられる人間を育成する」というものにとても合っているからです。この体験を通じて、人の思い・考えを知ることや、グループでの達成感、思い通りにならないことや、正答の無い問題をどう解決していくのかを経験し、知ることができるからです。類農園様の方は、場所と人手を出すという少ない費用で収入があり、これはお互いに益があることになります。

 類グループや類農園様は会社としては「縦」ではなく「円」で運営していこうと考えておられます。つまり、通常は上から下へという流れしかない現存の企業の形ではなく、課題や経営のことを全員で共有し、解決していく形を作っておられるのです。今回の取材では深く掘り下げられませんでしたが、この「円」で経営する形は、規模が大きくなるとどうしても無理が生じてくると思います。その解決のために全ての経営データや情報を公開し、全員参加の会議により日々の仕事の進め方から経営方針までを決定しています。また、あらゆる情報を共有できるよう社内イントラネットを利用した社内会議室を設置しガラス張りの経営を行っています。 今あるべき会社とは? (有)類農園
 
  最後に今後の類農園様の採用について伺いました。

基本的に学部学科のことは考えておられず、その人自身が「考える」ことができるかに重点を置いておられるそうです。また、インターシップにも力を入れておられ、参加者の約半数が農学部以外からの学生とのことです。学生には机上の勉強よりも現場で生の経験を通して実際に役に立つ本物の勉強をしてほしいとのことでした。
 
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“HAPPYサイクル”が生まれる企業 (株)農業公園信貴山のどか村
大阪樟蔭女子大学 心理学部 発達教育心理学科 青木 美咲
  梅木 美緒
 「株式会社 農業公園 信貴山のどか村」は、生きるために最も必要な“食”を、そして安全な“食”を提供することを徹底されています。私達は代表取締役の奥田哲生様にお話を伺いました。

実際に訪問させていただき、のどか村が事業の基本とされています、お客様のHAPPYが従業員のHAPPYに繋がり、良いサイクルが生まれている企業であることを実感しました。

 のどか村はエコファーマーに認定されていますが、認定されるずっと以前から低農薬・無農薬を心がけておられます。奥田社長様は「全ての作物に愛情を注ぎ、その作物を直接お客様に渡すことでお客様の反応を直に感じられることがやりがいの一つである。」と話されていました。この日、私達は目の前で採ったばかりのトウモロコシを頂いたのですが、そこでその意味を理解することができました。「お客様が生産者から直接作物を受け取ることで安心し、その場で食べて「おいしい。」と思わず笑みがこぼれる。その笑顔を見てまた従業員方にもやりがいが出る」と、その時”HAPPYサイクル”が生まれていると感じました。 “HAPPYサイクル”が生まれる企業 (株)農業公園信貴山のどか村

“HAPPYサイクル”が生まれる企業 (株)農業公園信貴山のどか村  また、農業をしていく上で最も大変なこともお聞きしました。天候と社会問題の影響を大きく受けてしまい、それが原因で需要と供給とのバランスがとれないことが多いとのことで、そのピンチをチャンスにする独自の取り組み(残った野菜や卵を使用してピザやプリンを作るなど)に、今最も力を入れておられるそうです。

女性従業員が多いのどか村では、企画の多くは女性のアイディアが採用されているそうです。具体的には、ピザ作りやそうめん流し(平城遷都1300年に因んで1300センチの竹を使用)、鶏レースなどが挙げられます。従業員なら誰でもお客様に喜んでいただけるための提案をすることができるそうで、みんなで意見を出し合い常に楽しい企画を考えておられます。

 ここでも、お客様の笑顔を見ることが従業員の方のやる気に繋がり、それが”HAPPYサイクル”となっていると確信しました。

今回の訪問で従業員の方々の農業への熱い気持ちやお客様へのサービス精神こそが「のどが村」の最大の魅力であると感じました。

奥田社長様はじめ、従業員の皆さまには、お忙しい中お時間をいただき本当にありがとうございました。
 
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「家族一丸となり 平群の小菊を日本一に」 (有)中尾園芸
武庫川女子大学 生活環境学部 生活環境学科 清水 加奈子
武庫川女子大学短期大学部 生活造形学科 末松 沙紀
 今回、奈良県の平群町で小菊を栽培、販売されている有限会社中尾園芸様に企業訪問させていただきました。中尾園芸様は家族で経営されており、中尾勇介様とお母様と先代のお父様とで経営を担っておられます。まだ経験の浅い代表の勇介様とお母様にインタビューすることになりましたが、話を進めていくなかで家族の仲が大変良いことが伝わってきました。

 しかし、仕事のこととなるとお互いにサポータではなく、それぞれがパートナーであり、息子だから、女性だからという考え方を払拭し、お母様も2㌧トラックを走らせるほど、家族一丸となって稼業に勤しんでおられます。

家族の結び付きがとても強く、家族単位で稼業されており、またお母様がとてもしっかりしておられることが印象的でした。
「家族一丸となり 平群の小菊を日本一に」 (有)中尾園芸

「家族一丸となり 平群の小菊を日本一に」 (有)中尾園芸  小菊の栽培は、気候に左右されますが、大菊ではなく小菊を選ばれた理由は、大菊はまびきの必要があり、栽培に大変手間がかかるそうです。そこで小菊を選び、低コストで高利益を生み出すことに成功しておられました。また効率を上げるため、夏期は暑い日中を避け、早朝3時から仕事を始め、日中は休憩、夕方から仕事を再開する、という方法を取られています。

 現在課題になっている農家の少子高齢化について伺ってみました。
平群でも少子高齢化は進んでいるとのことで、どの家族でも将来を危惧されているようです。でも、中尾園芸様ではつい最近大学を卒業された、勇介様が稼業を継がれたので大丈夫のようです。また大学の友人がたくさんおられるので、繁忙期にはアルバイトとして赴いてくれるとのことで、若い人手が集まり易くずい分仕事が助かっているとのことです。
「家族一丸となり 平群の小菊を日本一に」 (有)中尾園芸

「家族一丸となり 平群の小菊を日本一に」 (有)中尾園芸  このアルバイト経験は、若い人達が農業に興味を持つきっかけにもなり、若者の地方離れを防ぐことにもなると思います。

また、小菊を販売するに際しては、新しい市場のルート拡大にむけ、アマゾンでインターネット販売することや、異分野の知識を取り入れたり、異業種の方と付き合うなど積極的行われています。これまでの農家としての固定観念を崩すことが、起業のきっかけになったそうで、固定観念の殻を打ち破り飛び出すことが農家として生き残り、更なる成長に結び付くと力強く語ってくださいました。
 
  訪問するまで描いていた代表の勇介様が私たちとほぼ同年代で驚きましたが、若い仲間を大切に新しいことに挑戦されている姿に学ぶことが多く、とても新鮮なインタビューになりました。

実際の小菊の梱包過程を見せていただいたり、愛情いっぱい育てられた小菊もいただきました。また、東山駅まで送り迎えまでしていただきました上、貴重なお話しをありがとうございました。
 
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「一期一会の精神」 (有)フォレストファーム
奈良女子大学 生活環境学部生活文化学科 北島 知晶
  渡邉 路津子
 今回、私たちは有限会社フォレストファーム様を訪問させていただき、吉盛信行社長にお話を伺いました。社長はとても快活な方で、いきいきとご自身の理念について語ってくださいました。

 フォレストファーム様では、カットねぎを主力商品にされています。これらのねぎは、すべて自社農場と契約農場で生産されており、加工、販売、配送までを一元管理しておられます。まず農場から運ばれてきたねぎを消毒・洗浄し、カットします。カットされたねぎはぬめりが出るので、再び水洗いをします。脱水をした後、さらに冷蔵乾燥させることによって脱水では取りきれなかった水分を飛ばします。このように国産のねぎを使い、自社で配送までを行うことによって、畑から採れて2~3日で消費者の元へ届けることが可能となっています。この安全性や新鮮さが付加価値となり、全国の消費者に選ばれる理由になっているのだと思います。 「一期一会の精神」 (有)フォレストファーム

「一期一会の精神」 (有)フォレストファーム  また、社長は人とのつながりを大変大切にされています。一般的に企業というと、利潤を追求し、徹底したコスト削減を目指しているというイメージがありますが、社長はコスト削減よりも大切なものがあると考えておられます。社長が自慢にしておられることは、たとえば、「生産農場がいくら遠くても美味しい新鮮なねぎの買付に、高い交通費を払ってもよい」というように必要経費にはお金を掛けていくことで、社員が伸び伸びと仕事ができるようにされています。このようにゆとりのある働く環境づくりをすることで、社員に自分の子供も同じ会社で働かせたいと思ってもらえるようにしたい、とおっしゃっていることがよく分かりました。

 また、特に印象的だったのは、「生きてきた自分自身が資本であり、その中で培われた人脈や信用も資本である」とおっしゃられていたことです。信用を失うようなことがあってはならないという信念から、ねぎが手に入らない時も、社長自らがあちこち駆け回り買い付けられてきたそうです。これらのエピソードの根底には、社長が大事にされている『一期一会』という精神がしっかり根づいていると思いました。 「一期一会の精神」 (有)フォレストファーム

 最後に、私たち大学生を含めた若者へのメッセージを伺ったところ、「若いうちには、どんなに無駄に思えることも、精一杯することによって、ひいてはそれがかけがえのない自分の資本になる。だから今はやりたいと思ったことはなんでもチャレンジしてみることが大切だ」とおっしゃっていました。その言葉が、大学生活も残り半分を切った今、今しかできないこと、本当にやりたいことは何なのかを考え直す良い契機となりました。

今回のインタビューを通して、様々な人と出会い、多くの経験を積むことで、社長のように自分こそが資本と胸を張って言えるような人生を歩んでいきたいと思いました。
 
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「地域の貢献度は全国一」 石井物産(株)
立命館大学 経営学部国際経営学科 加藤 大樹
  堂前 凌
 私たちが訪問させていただきました石井物産(株)様は、柿を使った独創性あふれる商品を提供されておられる会社です。今回の訪問では、石井光洋社長と、そのご子息であり専務の和弘さんにお話を伺いました。

 まず始めに、石井社長に会社の理念、なぜこの会社を立ち上げられたのかについて、熱く語っていただきました。会社の理念には熱意、創意というものが根幹にあり、社員にはただ命令に従うのではなくて、自分で考えて仕事をすることを求めておられるとのことです。そして、なぜ起業するに至ったかについては、奈良の吉野は全国有数の柿の生産地ですが、市場での値崩れを防ぐために、大量の柿を廃棄しており、生産者も苦しい生活を送っている現状から、その柿をできるだけ高い値段で生産者から買い、その柿を使って、新しいビジネスを起こすことができないか、それが地域活性化につながるのではないかという考えのもとに創業されたとのことです。 「地域の貢献度は全国一」 石井物産(株)

「地域の貢献度は全国一」 石井物産(株)  次に、私たちがあらかじめ用意していた質問についても、丁寧に返答をいただきました。商品のターゲット層については、主に高齢者であり、昔懐かしい味を思い出してほしいとのことでした。私たち、若者はターゲット層にされないのかという質問に関しては、「今は、柿が嫌いであっても年をとったら味覚が変わり良さが分かるようになるかもしれない。特定のターゲット層向けの商品開発はしていないが、できるだけバラエティーに富んだ商品を生み出していくことで新しい顧客層を開拓していきたい」とのことでした。人気商品である『柿こーり』を試食させていただき、シャキシャキとした食感で、柿の甘みが凝縮されており、本当においしく頂きました。最近では、テレビでも多く取り上げられ、認知度も上がり、商品の生産が追いつかないようです。

 さらに、石井物産様のこだわりとしては、柿を丸ごと使うということです。代表商品である、『柿もなか』の、中身の材料は他の店では、柿以外に、あんこなどを混ぜるが、石井物産様では柿本来の味を味わってもらうために、柿を100%使用されています。こうした信念を貫いておられるからこそ、他の企業に真似されても、顧客を獲得し続けられるのだと思いました。さらに、どうして、このようなバラエティーに富んだ商品を生み出せるのかということを社長にお伺いしたところ、「私は機械工学出身で、マーケティングの知識など乏しかったが、だからこそ常識にとらわれない商品を生み出すことができた。」というお答をいただきました。ちなみに和弘専務様が戻ってくるまでは、営業活動はほとんどされてなかったようです。私たちも概念にとらわれない考え方を持つことが社会に出たら必要になるのではないかと思いました。

最後に今後の目標をお聞きしたところ、社長様は、柿渋には抗菌性がありこれを活用した商品開発を行い、これに人生をかけたいとおっしゃいました。

私たちは今回の訪問で、地域にこれだけ密着して貢献されている企業の存在を身近に感じ、ただ規模を大きくして利益を挙げる企業が必ずしも良い企業ではないことを痛感しました。今回このような機会をいただいたこと本当に感謝しています。ありがとうございました。
 
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「新鮮な牛乳に対する思いは‘いちづ’」 植村牧場(株)
奈良佐保短期大学 生活未来科 食物栄養コース 加藤 江里
  羽鹿 槙祐
  山本 未年

 私たちが企業訪問させていただいたのは、植村牧場株式会社様です。

聖徳太子ゆかりの般若寺の向かいにある牧場で、創業明治16年、四代目の牧場主の黒瀬礼子社長様にお話を聞かせていただきました。

牧場といえば郊外にあるイメージがあったのですが、植村牧場は奈良市内にあると伺い、街中でどのように牧場を経営されているのか興味をもったため、ぜひ訪問しようと思いました。


 私たちが着くと28頭の牛、ヤギ、ポニーなどたくさんの動物が元気に出迎えてくれました。黒瀬社長様が緊張している私たちに優しく接して下さいました。

植村牧場様では、手作業で原始的な方法で自然に健康な牛を育てることをモットーに、低温殺菌牛乳をお客さまにお届けされています。低温殺菌牛乳(75℃ 15分間)とは、普通の牛乳より余分に加熱していない分、たんぱく質やビタミン類の分解が防がれ、よりマイルドでおいしいといわれています。
「新鮮な牛乳に対する思いは‘いちづ’」 植村牧場(株)

「新鮮な牛乳に対する思いは‘いちづ’」 植村牧場(株)  また、配達や店頭販売などだけでなく、牛乳を利用したものづくりをというお考えから、ソフトクリームやカップアイス、アイスもなかなど様々な商品づくりに発展し、現在ではレストラン「いちづ」も経営されています。レストランでは牛乳を利用したメニューを元奈良ホテルのシェフが腕をかけて振舞っておられます。アイスもなかに奈良の特産品の奈良漬けや、郷土野菜の大和まなが使われており驚きました。

機械を使わず手作業が多い植村牧場様では、やはり人手がたくさんいる、労働力、朝が早く夜が遅い、休みがないといった苦労があるそうです。また、衛生管理には特に気をつけておられるそうです。特に、おいしい牛乳を作るためには牛の健康管理がとても大事で与える餌もその日の牛の体調に合わせて調合されているとのことです。初めて聞くことばかりで大変驚きました。

 15名余りの知的障害者の人たちも昼夜頑張って働いておられます。牛の世話や牛乳ビンの洗浄、配達などの牧場の仕事はもちろん、牧場の新鮮な牛乳を使ってのクッキーやプリンなどのお菓子づくりをされています。約10名の方が住み込みで働いておられると聞いて感嘆しました。

学生や若者に期待するものをお伺いしますと、「近年酪農や農業などの一次産業が減りつつあります。作物や動物の世話などにより休みがほとんどなく、好まれない作業も多いため、若い人たちからはあまり好まれていません。しかし、私たちの生活に最も密接で、なくてはならない産業です。もっと一次産業に目を向け興味を持ってほしい」とおっしゃっていました。
「新鮮な牛乳に対する思いは‘いちづ’」 植村牧場(株)

 お話の後、牧場の牛乳をふんだんに使ったお菓子をいただきましたがとてもおいしくて植村牧場様の牛乳にかける情熱がまた伝わってきました。

今回牧場を見学させていただいたことで、私たちの知識や視野が広まり、経営するうえでのご苦労や大変さなども学ぶことができ、貴重な経験になりました。

このような場を設けて下さった、植村牧場様、奈良県中小企業支援センター様に深く感謝しております。
 
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「女性の力は地域の力!!」 (株)農業法人當麻の家
畿央大学 教育学部 現代教育学科 酒井 麻衣
  阪上 祐香
 私たちは奈良県葛城市にある㈱農業法人當麻の家様を訪問させていただき、駅長である庄田様に貴重なお話を伺いました。はじめ紹介文を見たときに、道の駅で直売所や加工工場が一緒になっていることが想像できませんでしたが、當麻の家は二上山の豊かな自然の中にあり、どこか懐かしい印象を受けました。また地域農産物を取り扱っておられるということで、事業内容やその魅力についてお話を伺いました。

 當麻の家は直売所だけでなく、加工工場、農園、レストランを併設した道の駅です。もともとは農家の女性たちが味噌の加工場を希望したことから始まったそうです。しかし加工するだけでなく、販売・直売・レストランと形態が広がり、現在の當麻の家となりました。現在は加工品だけで約250品目、全体で900品目以上の商品を扱っておられます。また、体験農園や加工品作りの体験などもあり、家族連れなど多くの方が訪れるそうです。 「女性の力は地域の力!!」 (株)農業法人當麻の家

「女性の力は地域の力!!」 (株)農業法人當麻の家 「當麻の家の魅力は、おばちゃんたちの元気ややる気ですね。女性が元気だとその地域も元気になるのですよ。」と、庄田様は笑顔で答えてくださいました。私たちも訪問させていただいて一番感じたことが、女性職員の方々の笑顔や明るさでした。ほとんどが農家の方で、毎日楽しんで働いていらっしゃいます。また周りには當麻寺やふるさと公園、展望台など観光地に恵まれており、休日や天気の良い日にはたくさんの方が来られるそうです。「丸ごと安心 旬の味」で地元の食材を使用して加工食品を作ったり、レストランでは加工した食材を提供したりと地産地消されています。こうしたことも加工工場が併設されている當麻の家だからこそできる一つの魅力だと感じました。

 求められる人材、必要な力とはと質問をさせていただいた時、庄田様から「どうすれば若い人たちに手伝ってもらえますか?」と逆に質問を受けました。現在當麻の家で働く職員の方の平均年齢は58歳で、40~50歳の女性が多く働いておられます。ホームページを立ち上げる際にも、パソコン操作ができる職員さんがいなくて、大変苦労されたそうです。また當麻の家の魅力を世間にPRする力もまだまだ不足しているとおっしゃっていました。

商品のパッケージ作りや商品開発などの発想力、魅力を伝え商品を売り込む営業力、味噌作りなどの技術を引き継ぐ後継者、そしているだけでその場が明るくキラキラする若い存在が大いに期待されています。
「女性の力は地域の力!!」 (株)農業法人當麻の家

 今後挑戦していきたいことは、商品はもちろん、接客や人の良さが他の道の駅とは異なる道の駅にすることだそうです。庄田様は「いつまでも奈良のお土産だけではいけない」とおっしゃっていました。現在取り扱っている商品に加え、他の道の駅の商品を取り入れたり、他の道の駅と共同して事業をしたりと年一回ある駅長会議でプランを練っておられます。またリーダー会を開き、職員同士の繋がりを深め、職場の中で自分の意見が気軽に言える場づくりに努力をされています。新たな取り組みに挑戦するだけでなく、今までの事業に誇りを持ちさらに磨きをかけて、多くの方に来ていただける道の駅にしていきたいとのことです。

今回の訪問で、庄田様をはじめ職員の方々にたくさん元気をいただくとともに、地元の食材や人材をとても大切にしておられる姿に感動しました。貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。
 
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時代のニーズに対応する、これからの農園づくり (有)山口農園
奈良佐保短期大学 生活未来科 高井 綾香
  劉 彬
 私たちは、宇陀市榛原で伊那佐山の中間部にある有限会社山口農園様を訪問させていただきました。

とても静かな落ち着いた感じの所で、ビニールハウスがいくつも転々とありました。山口農園様は農産物を生産するうえで最も大切な水源を、伊那佐山からの恵みの湧水を活用し、真心のこもった美味しい野菜を作っておられる農園です。

 山口農園様では、年間を通して軟弱野菜とハーブ類を生産・販売されています。有機JASマーク認定の農園で薬や化学肥料を使わない野菜として、主に軟弱野菜という水菜やホウレン草、春菊などの短期間で作れる葉物を90本ちかくのビニールハウスで生産されています。ハーブ類は、私たちもよく知っている、主にクールミント・スぺアミント・ペパーミント・タイム等です。

また、山口農園様では、野菜の生産・加工・販売だけでなく、農業を学ぶ職業訓練の学校(オーガニックアグリスクールNARA~農業実践科)も事業として行っておられます。訓練学校では、経営的な現場の視点から実践的に有機農業を体感・学習ができ、明日の担い手となるべく新規就農を目指す研修生はもとより、一般企業から来られている人など様々な人がおられます。農業を第二の人生にと考えておられる人、農業に興味があり自分の手で生産したい人など、生徒の一人ひとりがそれぞれの目的に向かって学んでおられます。
時代のニーズに対応する、これからの農園づくり (有)山口農園

時代のニーズに対応する、これからの農園づくり (有)山口農園  山口 武社長様は、「現在は、農業には関心の無い若者がほとんどです。欧米化もあり輸入の野菜を買う機会がほとんどで、日本の自給率がだんだんと低くなってきています。その様な経営環境のなか、土壌を根本から見直し、つくるところから始める有機農業の推進が重要と考えています。」とおっしゃっていました。実際に水菜を食べさせていただきましたが、収穫した野菜をすぐに食べることができ、味も美味しくとても新鮮で、こんなに安心で安全な有機野菜を、もっとたくさんの人に食べてほしいとつくづく思いました。

 そしてまた社長は、「地域や消費者に信頼されるとともに、常に時代のニーズに対応し、可能性を追求する農園として、さらに頑張っていきたい」と、力強く話してくださいました。人は食べ物がないと生きていけない、このように安心して食べれる作物を豊富に作っていただけるのも、こうした農業の方々が頑張っていただいているからで、その当たり前のような幸せに気づき、感謝をしなければならないと思いました。 時代のニーズに対応する、これからの農園づくり (有)山口農園

  私たち一人ひとりが、農業に携わる皆様に感謝の念を持つとともに、重要で大事な仕事として認識すれば、日本の農業経営もより発展していくと思います。

山口農園様には、普段学ぶことができない知識や事業のあり方、そして人間としての生き方までも、大変貴重なことを教えていただき有難うございました。
 
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生産者と消費者をつなぐ (株)パンドラファームグループ
奈良佐保短期大学 生活未来科ビジネスキャリアコース 米田 唯花
  郭 亜朋
 私たちは、五條市にある株式会社パンドラファームグループ様に企業訪問させていただきました。

当日は、管理本部の中田様が私達を五條駅まで迎えに来てくださいました。まず最初に同社のグループ企業である有限会社農悠舎王隠堂様に立ち寄り、その後パンドラファームに案内いただきました。この会社の雰囲気は、他の農家とは違い自分達のお金でセンターを作られたとのことで手作り感があり、アットホームなものでした。

 次に、社長の和田宗隆様にインタビューさせていただきました。仲間作りを大切にし、地元の方々の仕事への参加には、どのような工夫をされておられるのかをお聞きしますと「今の消費者のニーズに合ったものを適切に生産して、どのように販売したらよいかをいつも考えることが大切です」とのお話しがありました。また、安心、安全を基本理念に、いつも生産者と消費者をつなぐ工夫をされ、おいしい農産物を提供したいと考えられています。例えば、キズがあったりしても新鮮でおいしい農産物であること、自分たちが作っている農産物は、すべて安心、安全なものばかりで、そんな農産物を理解してもらえるように、また作り方について日々研究されておられます。 生産者と消費者をつなぐ (株)パンドラファームグループ

生産者と消費者をつなぐ (株)パンドラファームグループ  同社では古民家:旬の野菜レストラン「農悠舎王隠堂」も経営されています。このレストランは、予約制で多いときには40~50名ぐらい来られるそうです。特徴は、季節によって干し柿作り体験や柿の葉寿司を作る体験ができることです。そこでまた人とひととの交流が生まれます。そして、地元の食材をおいしく料理し提供しようと、地元のシルバー人材の皆さん4名が、レストランで従業員として活躍されています。

お手本にされている周辺地域や施設などがありますかとの問いに、「お手本になる施設を考えるよりも、自分達が手本とされる会社になれるよう、より良い商品づくりに挑戦しています」とのことでした。

 ここの野菜は、ファンが多くずっとリピートして買っていただいている方もおられるそうです。

事業で困ったことは、生産目標に対して100%出来ると思っていても80%しかできなかったり、またその年によって120%出来たりする予測不可能な事が起こること、その時には、例えば生産した農産物を加工品として出荷するか、加工せずにそのままのものを出荷するかの難しい判断を迫られる局面があるそうです。このように、いろいろな状況に応じた動きが必要になってきますが、想像以上に農業は気候が左右するようです。農業をやっているといつでもピンチと背中合わせです。でもピンチはチャンスでもありますよと力強く話してくだいました。
生産者と消費者をつなぐ (株)パンドラファームグループ

 最後に将来へのアドバイスとして、「いつも前向きで、夢を持って知識を身につけるようにすること。より強く、より早く成長すること。そして、社会に自己の力を出すこと」。特に印象に残っているのは、「人がいないと地域が成立しない」という言葉でした。物事は何でも一人では出来ないものでみんなで協力して成功できるものだと思います。それによって自分達も成長できます。これからも、今回学んだいろいろな事を大切な将来に役立てていきたいと思います。とても暑くお忙しい中で、時間を割いていただいたパンドラファームの皆様、レストランの皆様、また、経営者と接する機会を作ってくださった奈良県中小企業支援センターの皆様、本当にありがとうございました。
 
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「人にも自然にもやさしいトマトを」 (有)とぐちファーム
奈良県立大学 地域創造学部 地域総合学科 中西 愛
  観光学科 井上 美智
 この度、私達はとぐちファーム様を訪問させて頂き、専務の東口晴一様にお話を伺いました。水耕栽培により美味しく安全な上質のトマトを生産されています。実際に、作っておられる所を見せていただいたのですが、本当に土ではなく水が流れており、そのクリーンな栽培方法に驚きました。水耕栽培は、管理しやすく自然にストレスを与えないという点で非常に有用ですが、その設備の導入に非常に費用が掛かるため、なかなか普及しないとのことでした。また、全国初の内圧式のハウスの建設により、夏場でもトマトの栽培が可能になるため、年中栽培が可能です。ビニールハウスといえば、中はとても暑いイメージがありますが、とぐちファーム様のビニールハウスは、想像以上に涼しかったのが印象的でした。

 私達が地域創造学部という、地域づくりや観光について学ぶ学部にいるということもあり、地産地消についてどうお考えかお尋ねしたところ、「地を日本という大きい枠で捉えるべきではないか」とおっしゃっていました。今まで採れたものを、その地域の人が食べることが、地産地消の在り方だと思ってましたので、地を日本と捉える考えに衝撃を受けました。確かに、地域の人に味わって貰うことも大事ですが、食の安全が問われている現代、安全で美味しい日本産のものを全国に届けるということも、とても重要なのだということに気付きました。お話の随所から、広い視野で農業について考えていらっしゃるということが伝わってきました。 「人にも自然にもやさしいトマトを」 (有)とぐちファーム

「人にも自然にもやさしいトマトを」 (有)とぐちファーム  日本における農業従事者の平均年齢は、現在65歳前後と言われています。次を担う若手は50代で兼業農業をするのがやっとで専業には程遠く、現状維持が精一杯というのが実状です。なぜ若い世代が農業をしたがらないのかというと、親の世代が農業をする姿を見て、魅力を感じないからだそうです。他の職業もそうですが、実際に自分でやってみないとその魅力が分らず、収入が不安定であったり大変そうだったり、と辛い面ばかりが際立つのでしょう。そのため、収入も安定しているサラリーマンの方に魅力を感じる人は多く、また、もし後継者ができたとしても嫁問題等の課題も生じます。近年では、女性の就農者も増え、婿問題まで発生しているとのことです。そんな後継者問題について意見を伺うと、「快適な環境での農業」が課題解決の策だとおっしゃっていました。具体的に言うならば、きれいなビニールハウスでカジュアルな服を着て農業ができる環境づくりというようなものです。そうして、農業を魅力ある仕事として若い世代にアピールし、子供のなりたい仕事トップ10にランクインするよう「農業」を押し上げることが夢だということでした。そのためにも、新しい就農者の受け皿を地域全体でつくっていくことが必要と考えておられ、とぐちファーム様でも実際に就農希望者の受け入れを行っていらっしゃいます。

 地域に密着した第一次産業に分類される「農業」。私達の学問分野としても非常に興味深いものであるにも関わらず、その知識は殆どゼロと言って良いほどありませんでした。しかし、東口様からたくさんの貴重なお話を伺ったことで、数時間という短い間ではありましたが非常に自己を高められたのではないかと思います。この様な素晴らしい機会をいただき、本当にありがとうございました。 「人にも自然にもやさしいトマトを」 (有)とぐちファーム
 
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「“人持ち”の、みんなのホリデン」 農業法人ホリデン(有)
帝塚山大学 人文科学部 英語文化学科 東口 友美
  心理福祉学部 心理学科 三原 花菜
 私たちは農業法人ホリデン有限会社様を訪問させていただき、堀田繁光社長様から直々にお話をお聞きしました。

堀田社長様は以前は企業戦士で、別の会社の社長として、数十年仕事と闘ってこられましたが、お仲間から「せっかく(会社に)土地があるのだから無料で貸したら」という声をきっかけに、無料『貸農園』の事業を行うホリデン有限会社を立ち上げられました。

 元からの所有地は勿論、新たに農地を購入したり、地主さんに無料で譲っていただいた土地を、個人や企業問わずに無料で提供しておられます。利用者の方には必要なだけ自由に土地に使ってもらい、そこで得られた利益は、全部その方達のものとなります。

そんなホリデン様の元には沢山の農家、企業、芸術家、パン作り等のその道の名人の方々が集まり、相互に恵みを分かち合いながら、それぞれ活発な活動をされています。ご自身も山の中に家を構え、その方々から農業等を学びながら、一緒に協力して新たな事業を展開など、より交流を深めておられます。「大きな利益を目的としていないから自然と人が集まる」「この仕事していたら、金持ちにはならないけど“人持ち”になれる」、とおっしゃっていました。地元からも、「この工場を使ってください」等の沢山な申し出とご協力をいただいているとのことです。
「“人持ち”の、みんなのホリデン」 農業法人ホリデン(有)

「“人持ち”の、みんなのホリデン」 農業法人ホリデン(有)

 自然に触れることで、企業戦士だった時の自分が優しさや人間性を失っていた事に気づけたそうです。「自分も自然の一部であることが分かり、自己発見ができる。人に優しくなれる。」という人間味溢れる穏やかな笑顔は、とても素敵でした。

またこの日は、お仲間であり農業の指南もしておられる、健一自然農園代表の伊川健一様の茶畑と、茶葉の発酵作業の見学もさせていただきました。伊川様は、肥料に頼らずいかに自然の力を活用して農業をするかという信念を持って農業に取り組んでおられます。収穫した茶葉の中にはカマキリが何匹もいるぐらい、無農薬の安心さがありました。一緒に発酵作業をしておられた小山様も、子どもには安全で良い物を食べさせたい、というお気持ちを強く持っておられます。また、農業研修生の吉森さんと北村さんによると、茶畑の作業では沢山の虫に刺されるなどの大変さもあるそうですが、食べ物がおいしく、近所の方の優しさに触れられる事がやりがいの一つだと楽しそうに話してくださいました。


 最後に、学生に対するアドバイスをお願いした所、「旅行を一杯して、沢山の人と触れ合ってほしい。一つの事にこだわらず、五感を使って物事を感じ取ってほしい。」というお言葉をいただきました。そして、「今後のビジョンは?」の問いには、「企業を大きくしよう、とかいう考えはない。“みんなのホリデン”として分かち合い、これからも楽しく自然体でやりたい。ビジョンとかは、もう卒業した。」と明るく笑って答えられたのがとても印象的でした。 「“人持ち”の、みんなのホリデン」 農業法人ホリデン(有)

  そして、自分が企業戦士だったからこそ、自然との融合の大切さを今働いている人達に伝えたい、と言っておられます。ホリデン有限会社様は、自然との一体感や人と分かち合うことを忘れがちな現代の日本に、大きなメッセージを発している企業だと実感する事ができました。

お問い合わせ

  • (財)奈良県中小企業支援センター 事業化推進課
    TEL:0742-36-8312 FAX:0742-36-4010