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奈良県植物機能活用クラスター協議会
トップページ研究成果>テーマ2 大和トウキ・大和シャクヤク
研究成果

テーマ2
優良大和生薬品種の鑑定技術及び増殖技術の開発

 
大和トウキの遺伝子鑑定技術の開発
 トウキは、日本薬局方では大和トウキと北海トウキが生薬基原植物として認められています。そこで、多数のRAPDマーカーにより検討した結果、両者を識別可能な、より特異性の高いDNAマーカーを開発しました。(図1)
 また、トウキは乾燥したキザミの状態で流通しているので、乾燥根から高純度のゲノムDNAの抽出・精製法を検討したところ、市販のゲノムDNA抽出キットとクロロホルム抽出法を組み合わせた改良法により、遺伝子増幅を効率よく行えるゲノムDNAを抽出することに成功しました。
図1 大和トウキの特異的DNAマーカー
 
鑑定等級の品質評価技術の開発
 生薬鑑定人(マイスター)は、生薬の外観、味、匂いなどについて人間の五感を駆使して評価しています。そこで、人間の官能評価に対して機器分析で対応すべく、味覚については液体可溶性成分を1H-NMR(核磁気共鳴装置)、UPLC/TOF-MS(超高速液体クロマトグラフィー/質量分析装置)、嗅覚については揮発性成分を測定するGC/TOF-MS(ガスクロマトグラフィー/質量分析装置)を用いて分析し、得られたデータをメタボリックプロファイリングすることで品質評価できる技術の開発を行いました。
  トウキでは、揮発性成分であるピラジンに着目し、その含有量から官能評価による鑑定等級の推定式を策定することに成功しました(図2)。また、水抽出成分を1H-NMRで糖、アミノ酸、有機酸などに帰属する化合物のシグナルについて網羅的に解析した結果、等級予測モデルが得られました。また、液体可溶性成分から生産地を推定できることもわかりました。
  シャクヤクでも、揮発性成分の含有量から等級を推定する鑑定式を策定できました。また、メタノール抽出成分についてUPLC/TOF-MSで分析し解析することで、品質等級を予測するモデルを開発することができました。
図2 ビラジン類含量によるトウキ等級の推定
 
大和シャクヤクの大量増殖技術の開発
 大和シャクヤクは雄性不稔であるため種子ができず、これまでは株分けによる増殖法に頼ってきました。そこで、効率的な増殖方法として、休眠打破を利用した株分け増殖法を検討しました。その結果、4℃、4週間の処理で休眠状態を打破できることがわかりました。また、低温処理した根茎をココブロック、園芸用培養土、ロックウール等の支持体を用いて人工栽培すると、ココブロックで良好な生育を示し(図3)、栽培5カ月目でココブロックでは約3倍、ロックウールおよび園芸用培養土では約2倍程度肥大しました。 図3 各支持体を用いたシャクヤクの人工栽培
 
奈良県産大和トウキの薬効による評価
 奈良県産の大和トウキを配合した当帰芍薬散を女性に服用して貰い、その効果を中国産の大和トウキを配合した当帰芍薬散と比較しました。服用者に自覚症状の問診を行い、問診結果と服用前後の遺伝子発現変動の関係を、最新の数学的な方法によって解析し、遺伝子発現の変動を伴って症状が回復した場合に、その症状が改善したと判断しました。奈良県産の大和トウキ配合の当帰芍薬散を服用した場合に、冷えやむくみ、月経痛が改善されました。
 
 
 
 
詳細な研究成果は下記をご覧下さい。
 
  鑑定技術   大和トウキの遺伝子鑑定技術の開発 
  増殖技術   大和シャクヤクの大量増殖技術の開発 
  品質評価技術   大和トウキ及び大和シャクヤクの品質評価技術の開発 
  優位性評価   奈良県産大和トウキの薬効による優位性の評価 
  データベース   植物代謝産物データベースサブシステムの構築 
 
◎研究の詳細技術資料は、各研究毎にA4サイズ1ページから2ページです。
  PDF形式になっておりますので、「PDF」アイコンをクリックしてご覧ください。
 
 


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